上級 2026年7月8日 · 約18分

Clash TUN モードの深掘り:DNS 漏洩防止と Fake-IP 高度な設定ガイド 2026

TUN モードは Clash における最も強力かつ技術的に洗練された動作モードの一つです。単なるシステムプロキシを超え、仮想ネットワークカードとして機能することで、あらゆる TCP/UDP トラフィックを捕捉します。本ガイドでは、DNS 漏洩を完全に遮断し、Fake-IP を最適化するための、2026年最新のエンジニア向け高度設定を解説します。

TUN モードの技術的本質:なぜ必要なのか?

従来の HTTP/SOCKS プロキシモードでは、アプリケーション側がプロキシ設定を認識し、自発的にトラフィックを Clash の指定ポートに送信する必要があります。しかし、一部のアプリケーション(特にコマンドラインツール、ゲーム、古いソフトウェア)はプロキシ設定を無視します。ここで TUN モード の出番です。

TUN モードを有効にすると、Clash はシステムレベルで仮想ネットワークインターフェース(通常は utun または clash という名称)を作成します。OS のルーティングテーブルが書き換えられ、すべてのパケットがこの仮想 NIC を通過するように強制されます。これにより、「プロキシ非対応アプリ」の問題を根本から解決できます。

  • 透過性:アプリ側での設定変更が一切不要。
  • 全プロトコル対応:ICMP(Ping)、UDP、TCP すべてを捕捉可能。
  • バイパス制御:特定のプロセスや IP 帯域を TUN の外側(DIRECT)に逃がす高度な制御が可能。

DNS 漏洩:プロキシ環境における最大の脆弱性

プロキシを使用しているにもかかわらず、自分の位置情報やアクセス履歴が漏れてしまう原因の多くは DNS 漏洩 です。これは、Web トラフィックはプロキシを通っているのに、ドメイン名の解決(DNS クエリ)がローカルの ISP(プロバイダ)サーバーに送信されてしまう現象を指します。

注意:なぜ漏洩が起きるのか

OS が Clash の TUN カードよりも先に、物理カードに紐付いた ISP DNS を優先して使用してしまう場合に発生します。これを防ぐには、Clash 側で DNS クエリを完全に「ハイジャック」する必要があります。

DNS ハイジャックの仕組み

TUN モードでは、dns.enhanced-modefake-ip に設定することが推奨されます。これにより、Clash は DNS クエリに対して即座に 198.18.x.x 帯域の仮想 IP を返し、実際の名前解決をプロキシサーバー側(リモート)で行います。これにより、ローカルでの DNS 漏洩を構造的に防ぐことができます。

2026年版 高度な TUN + DNS 設定例

以下は、パフォーマンスとセキュリティを両立させた、開発者向けの YAML 設定テンプレートです。

tun:
  enable: true
  stack: mixed # gvisor, system, mixed から選択。2026年現在は mixed が最も安定
  dns-hijack:
    - "any:53" # すべての 53 ポートへの DNS クエリを Clash が捕捉
  auto-route: true
  auto-detect-interface: true # 物理 NIC の変更を自動検知

dns:
  enable: true
  listen: 0.0.0.0:1053
  enhanced-mode: fake-ip
  fake-ip-range: 198.18.0.1/16
  nameserver:
    - https://dns.google/dns-query
    - https://1.1.1.1/dns-query
  fallback:
    - tls://8.8.8.8:853
  fallback-filter:
    geoip: true
    geoip-code: JP
    ipcidr:
      - 240.0.0.0/4

Fake-IP モードのメリットと注意点

Fake-IP は、名前解決を待たずに接続を開始できるため、ブラウジングの「初速」が劇的に向上します。しかし、いくつかの落とし穴も存在します。

  1. キャッシュの問題:OS やブラウザが Fake-IP をキャッシュしてしまうと、Clash を終了した後に接続できなくなることがあります。
  2. ローカルサービスの競合:プリンターや NAS などのローカルデバイスへのアクセスには、fake-ip-filter を設定して Fake-IP を適用しないようにする必要があります。
  3. ゲームの互換性:一部のオンラインゲームでは、実 IP ではない Fake-IP を検知してエラーを出す場合があります。その場合は redir-host(非推奨になりつつありますが)を検討するか、TUN のスタック設定を調整します。

プロのアドバイス:スタックの選択

stack: gvisor はユーザー空間で動作するため安全ですが、CPU 負荷がやや高くなります。stack: system は低負荷ですが、一部の UDP 通信で不安定になることがあります。迷ったら mixed を選択してください。

TUN モードのトラブルシューティング

TUN モードを有効にしたのにインターネットに繋がらない場合、以下のステップで診断を行ってください。

  • 管理者権限:TUN カードの作成には OS の管理者権限が必要です。クライアントを「管理者として実行」しているか確認してください。
  • Wintun などのドライバ:Windows の場合、wintun.dll がインストールされているか確認してください。
  • ルートの競合:他の VPN(WireGuard, OpenVPN)が同時に動いていると、ルーティングテーブルが混乱します。他の VPN をオフにしてテストしてください。

よくある質問

TUN モードとシステムプロキシ、どちらを使うべきですか?

通常のブラウジングだけならシステムプロキシで十分です。しかし、全てのアプリをプロキシ経由にしたい、あるいは DNS 漏洩を絶対に防ぎたい 場合は TUN モードが圧倒的に優れています。

バッテリー消費に影響はありますか?

はい、TUN モードはすべてのパケットをユーザー空間の Clash カーネルで処理するため、システムプロキシよりも CPU 消費が 5〜15% 程度増加する傾向があります。モバイル環境では注意が必要です。

TUN モード以外にも Clash を使いこなすためのガイドを用意しています。 《Clash for Windows 完全セットアップガイド》 《接続されているのにネットが繋がらない?DNS設定の修正方法

まとめ

  1. TUN モードは仮想 NIC を使用して、あらゆるアプリのトラフィックを捕捉する。
  2. DNS 漏洩を防ぐには fake-ipdns-hijack の組み合わせが最強である。
  3. YAML 設定では stack: mixedauto-route: true を基本とする。
  4. ローカルデバイスの競合を防ぐために fake-ip-filter を適切に設定する。

Clash の TUN モードは、2026年現在、最も信頼できるネットワークプライバシー保護手段の一つです。設定はやや複雑ですが、一度正しく構築すれば、OS 全体でシームレスかつ安全なインターネット体験が可能になります。

設定が難しいと感じる場合や、より安定した動作を求める方は、最新の Clash ビルドを試してみてください。 Clashを無料でダウンロード

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