OpenAI Codex と o3:Web がタイムアウトしがちなとき、Clash の分流で chatgpt.com と API を同時に安定させる
2026 年、OpenAI は Codex を CLI や IDE 連携として押し出し、推論系では o3 のようなモデルが長めの思考・ツール呼び出しを伴うワークフローに組み込まれています。開発者が困りやすいのは「ブラウザの chatgpt.com は一応開けるのに、API やターミナルの Codex だけ遅い」「推論が長いセッションの途中で接続が切れる」といった経路の分裂です。本記事では Clash の分流ルールとDNS、ノード選択を、Web フロント・API エンドポイント・CDN/静的配信・長接続(ストリーム/WebSocket 系)に分けて整理します。一般向けのチャット体験に寄せた ChatGPT / Grok 分流ガイドや、エディタ中心の Cursor 向け記事とは製品の組み合わせを変え、Codex と o3 を一体運用するときの落とし穴に焦点を当てます。
なぜ「Codex + o3」はネットワーク設計をシビアにするのか
単発のチャットと違い、Codex はエディタやシェルから複数ホストへ連続アクセスし、認証・レート制限・中間 CDN をまたぎます。o3 のような推論モデルはサーバー側処理とクライアント側の待機が長く、途中で出口 IP が変わったり、DNS だけ別経路になったりすると、画面上は「タイムアウト」や「再試行」として現れやすいです。Clash はルールベースなので、ホスト名の種類ごとに意図したポリシーグループへ寄せるほど、体感は安定しやすくなります。
- HTML/アセット:短い GET が多く、キャッシュや CDN の振る舞いが支配的。
- API(REST/互換エンドポイント):TLS セッションと認証ヘッダが絡み、経路の一貫性が効く。
- ストリーミング応答:ジッターや中間プロキシのバッファに敏感。
- CLI/IDE プラグイン:システムプロキシを読まないことがあり、ブラウザだけ「直結」に見える錯覚を生む。
トラフィックの四層:chatgpt.com・API・CDN・長接続
設定を書く前に、ログでどの層が詰まっているかを分けます。四層に分けると、あとからルールを足し減りしやすいです。
層のイメージ(名称はログ実測が正)
- オリジン近傍:
chatgpt.com、openai.comなど UI と OAuth に関わるホスト。 - API 系:
api.openai.comをはじめ、クライアントが実際に叩くホスト(環境・リージョンで変わり得る)。 - CDN/エッジ:静的リソースやサブドメイン分散。ブロックリストが誤って噛むと「白画面のまま待つ」ことがある。
- 長命セッション:推論やストリームが続く TCP 接続。ノードのアイドル切断や輻輳で切れやすい。
実際のホスト名はプロダクト更新で増減します。リモートの巨大リストを無検証で足すより、Connections ログで自分のクライアントが触っている名前を基準にするほうが、2026 年以降も保守しやすいです。
症状で見分ける:Web だけ・API だけ・両方
切り分けの順序を固定しておくと迷いません。
| 見え方 | 疑う順 |
|---|---|
| ブラウザは快適、Codex CLI だけタイムアウト | システムプロキシ非追従、環境変数 HTTPS_PROXY、TUN の要否 |
| API は通るが chatgpt.com の UI が白い | CDN ホストのルール欠落、広告ブロック系リストの過剰一致 |
| o3 の長い応答ほど切れる | 長接続向きでないノード、グループのフラップ、アイドルタイムアウト |
| ログイン直後だけ不安定 | 認証ドメインと本番 API で出口が分裂、DNS の食い違い |
一変数ずつ
ノードの国を変えつつルールも同時にいじると因果が追えません。まず Rule と DNS を固定し、次にポリシーグループ、最後にノード、の順が安全です。
DNS:fake-ip と「名前は合っているのに国が違う」問題
ブラウザだけ DoH、Clash 内だけ別リゾルバ、ターミナルは OS 既定——という三重分裂は典型です。fake-ip を使う場合は、アプリごとに見え方が変わるので、DNS/fake-ip の整理を先に合わせてください。
- 解決経路を揃える:デバッグ中はブラウザ単体 DoH を一時オフにしてベースラインを取る。
- LAN とキャプティブは DIRECT:誤ってプロキシに乗ると「全体がおかしい」に見える。
- CLI の解決:Codex がコンテナや WSL 内なら、そのスタックの DNS も別世界になり得ます。
分流ルール:粗い GEOIP の前に OpenAI 用の束を置く
Rule モードでは、細かい行ほど上が基本です。openai.com や chatgpt.com、実測で出た API ホストを同じ安定グループに寄せ、ログイン中は出口を跳ばせないことが重要です。
よく使う出発点(網羅ではありません)
DOMAIN-SUFFIX,openai.com、DOMAIN-SUFFIX,chatgpt.com- 実際の API ホスト(クライアントのログに出た名前をそのまま)
- OAuth/IdP まわり(ここを直結に落とすとブラウザだけログイン失敗に見える)
コミュニティの広告ブロック用途リストは、SaaS のテレメトリや A/B 用ホストまで止めがちです。「ChatGPT が重い」ではなく「特定ホストが黙って失敗」になるので、新しいリストを入れた直後から壊れた場合は真っ先に疑ってください。
利用規約と職場ポリシー
本稿は自分が管理する端末上の一般的なネットワーク整理です。サービス利用規約・法令・職場のセキュリティ方針を優先してください。
Codex CLI/IDE:プロセスとプロキシ環境変数
エディタ統合の Codex は、親プロセスがシステムプロキシを継承しないことがあります。ブラウザで chatgpt.com が動いても、ターミナルだけ別出口になるパターンです。
- まず
Ruleで OpenAI 系ドメインを意図したグループへ(ブラウザで確認)。 - CLI だけ遅いなら
HTTPS_PROXYなどを一時的に明示するか、TUN で取りこぼしを減らす。 - 企業 VPN や ZTNA と TUN を無秩序に重ねない(二重捕捉で逆に不安定になることがあります)。
Windows の土台は Clash for Windows セットアップ、macOS は Verge Rev で権限と購読を先に固めると、あとの分流調整が楽です。
o3 推論と長接続:ノードは「速い」より「途切れない」
推論時間が伸びるほど、中間の TCP セッションはアイドルに近い状態が続きます。ping が良くても、バッファや輻輳でストリームだけ落ちるノードがあります。
- ポリシーグループのフラップを避ける:数秒ごとに出口が変わると、クライアント側が静かに再接続を繰り返す。
- 多段チェーンは TLS ラウンドトリップを増やし、長文ほど不利になりやすい。
- 混雑時間帯は帯域争奪:大容量ダウンロードと同じ自動選択グループを使わない。
ここは「ChatGPT がカクつく」というより開発ワークフロー全体の信頼性の話です。長いジョブのあいだ手動でノードを固定するのも、再現調査では有効な手段です。
ノード選択:API 用プールを別ける意味
動画向けに選んだ「帯域は広いが遅延が不安定」な出口と、API 向けに欲しい「一貫した低損失」は必ずしも一致しません。分流ルールで OpenAI 系をひとつのポリシーグループに寄せたうえで、そのグループの中身を会話・API 向けにチューニングすると管理がしやすいです。
- 健康チェックの間隔と URL は、実際の API 疎通と相関するものを選ぶ。
- データセンター出口は普通:急に認証が厳しくなったら、別のクリーンなノードを試す。
- ログで「応答中に outbound が変わった」タイムスタンプがないか確認する。
ルール順の例(あくまで雛形)
グループ名 AI-STABLE は実際の名前に置き換え、自機のログで足りないホストを足してください。
# Illustrative only — verify hostnames from your client logs
rules:
- DOMAIN-SUFFIX,chatgpt.com,AI-STABLE
- DOMAIN-SUFFIX,openai.com,AI-STABLE
- DOMAIN-SUFFIX,oaistatic.com,AI-STABLE
- DOMAIN,api.openai.com,AI-STABLE
# Add CDN hostnames seen stalled in Connections
- MATCH,DIRECT
MATCH の行は環境に合わせて調整します。リモート rule-providers をマージする場合、ローカルの OpenAI 行が最終 MATCH に負けていないかを必ず確認してください。
IPv6・MTU・分割トンネル
IPv4 と IPv6 で別出口になっていると、一部のホストだけ奇妙に遅くなることがあります。MTU 問題は短文では成功し長い推論ストリームで切れる、というパターンもあります。ノード総入れ替えの前に、プロトコルとパケットサイズの相関を一度見てください。
FAQ
ブラウザは OK、Codex だけ失敗する
プロキシ継承と DNS を疑う。TUN で捕捉できるか、環境変数で明示できるかを試す。
API は通るのに UI だけおかしい
CDN 系ホストのルール欠落やブロックリストを疑う。ログのホスト差分を取る。
o3 にした途端タイムアウトが増えた
処理時間と長接続の相性。同一セッション中のノード固定と、フラップしていないかを確認。
Cursor の記事と何が違う?
Cursor 稿はエディタ周辺の汎用開発トラフィックが主役。本稿は OpenAI Codex と chatgpt.com/API の一体運用に寄せています。
チェックリスト(2026)
- DNS/fake-ip を端末全体で一貫させ、三重分裂を解消する。
chatgpt.com・openai.com・実測 API 名を粗い GEOIP より上に置く。- CDN ホストをログから補完し、ブロックリストの過剰一致を疑う。
- CLI 取りこぼしは TUN またはプロキシ環境変数で切り分ける。
- 長い推論中は出口のフラップがないか Connections で確認する。
まずはメンテされたクライアントから
ルールとログが読みやすいクライアントほど、OpenAI まわりの調整は速くなります。