Clash を終了したあともインターネットに繋がらない?Windows と macOS でシステムプロキシ・PAC・環境変数をリセットする
メニューバーから Clash を終了したはずなのに、ブラウザだけ「接続できません」——多くの場合、OS がまだ 127.0.0.1 や古いポート番号へのシステムプロキシ、あるいはローカル PAC(自動構成スクリプト)を指したままだからです。クライアントが異常終了すると「終了時に設定を戻す」処理が走らず、このプロキシ残留が残ります。本稿では Windows と macOS それぞれで、手動プロキシ・自動検出・PAC URL をオフに戻し、必要ならシェルの 環境変数まで片付けてから疎通を確認する手順を、チェックリスト形式でまとめます。
なぜ Clash を閉じても「繋がらない」のか
多くの Clash 系 GUI は、起動中に OS のプロキシ設定を一時的に書き換えます。通常は終了時に元へ戻しますが、強制終了・クラッシュ・アップデート直後の不整合ではその処理がスキップされ、存在しないローカルプロキシへトラフィックが送られたままになります。ブラウザは OS のプロキシ設定を尊重するため、DNS 以前に TCP 接続が失敗し、「Wi-Fi は繋がっているのにページが開かない」ように見えます。
- 手動プロキシ:
127.0.0.1:7890などが残っている典型例。 - PAC / 自動プロキシ構成(WPAD 以外):
http://127.0.0.1:xxxx/xxx.pacの URL が残り、スクリプト取得に失敗する。 - 環境変数:
HTTP_PROXYなどを手動で書いたままだと、ターミナルや一部アプリだけ異常になる。 - TUN / 仮想アダプタ:プロキシではなくルートが残っているケースは別切り分け(後述)。
注意
会社支給 PC や学内プロファイルでは、IT 部門が配布したプロキシを上書きしている可能性があります。勝手に「すべてオフ」にする前にポリシーを確認してください。
症状の切り分け(1 分)
次のどれに近いかで、次に触る場所が変わります。
| 様子 | まず疑う箇所 |
|---|---|
| ブラウザだけ不通、メールやゲームは普通 | ブラウザの拡張プロキシ、または OS の HTTP プロキシ/PAC |
| 端末全体が不安定、VPN アイコンが残る | TUN/仮想 NIC、他社 VPN との併用 |
curl だけ失敗、Safari は開く |
シェルの HTTP_PROXY など(ターミナル代理の稿と併読) |
| Clash は起動しているのに真っ白 | 本稿ではなく、DNS・fake-ip 側(接続中なのに繋がらない) |
Windows 11/10:システムプロキシを既定に戻す
設定アプリから(推奨)
- 設定 → ネットワークとインターネット → プロキシ を開く。
- 自動的に設定を検出するをオフ(不要な WPAD を避けたい場合)。
- セットアップ スクリプトを使用するをオフにし、表示されている URL を空にする。
- 手動でプロキシをセットアップするをオフにする。アドレス・ポート欄に
127.0.0.1が残っていれば消去。 - ブラウザを完全終了(タスクマネージャーでバックグラウンドも確認)してから再テスト。
レガシー画面が必要な場合は、実行ダイアログから inetcpl.cpl を開き、「接続」タブの LAN の設定で、自動構成スクリプトとプロキシサーバーのチェックを外します。企業環境ではグループポリシーがすぐ戻すことがあるため、その場合は管理者に相談してください。
Clash for Windows 系を再インストールする前に一度 OS 側をクリーンにしておくと、次回起動時の二重書き換えを防げます。初回セットアップは Windows 向けセットアップ稿を参照してください。
macOS:ネットワークサービスごとにプロキシをオフにする
macOS Ventura 以降は システム設定 → ネットワーク → 利用中のインターフェース(Wi-Fi など)→ 詳細 → プロキシ の順です。ここで次を確認します。
- 自動プロキシ検出(WPAD)が不要ならオフ。
- 自動プロキシ構成に
http://127.0.0.1系の URL が入っていたら無効化し、URL を削除。 - Web プロキシ(HTTP)・セキュア Web プロキシ(HTTPS)・SOCKS プロキシの各チェックをオフ、サーバ/ポート欄を空にする。
有線と Wi-Fi の両方にプロファイルがある場合、今つないでいない方に古い値が残っていることもあります。VPN プロファイルや iPhone テザリング用のサービス単位で値が分かれているので、一覧を上から順に一度確認すると手戻りが減ります。GUI クライアントの導入手順は Clash Verge Rev(macOS)を参照してください。
ヒント
変更後はブラウザの再起動に加え、必要なら「Wi-Fi をオフ→オン」で設定の再読み込みを促すと早いです。
PAC(自動構成スクリプト)が残るとき
PAC は「どのホストをどのプロキシへ送るか」を JavaScript で返します。Clash はローカル HTTP サーバから .pac を配布する構成がよく使われますが、クライアント停止後はその URL が 404 になり、ブラウザが起動直後にプロキシ決定で詰まることがあります。OS のプロキシ画面で PAC を無効化し URL を空にするのが第一歩です。
ブラウザ単体で拡張機能や「独自のプロキシ設定」を持っている場合もあります。Chrome 系なら chrome://net-export や設定の「システムのプロキシ設定を使用する」のオンオフで挙動差を確認できます。症状がブラウザ限定なら、まずシークレットウィンドウで再現するかを見てください。
環境変数(HTTP_PROXY など)を確認する
システムプロキシを戻しても、ターミナルだけ curl や git が失敗する場合は、シェル設定ファイルに残った HTTP_PROXY、HTTPS_PROXY、ALL_PROXY、NO_PROXY を疑います。Zsh なら ~/.zshrc、Bash なら ~/.bash_profile などを開き、Clash 用に書いた export 行をコメントアウトするか削除し、source ~/.zshrc で再読み込みします。
# Example: inspect current shell proxy env
env | grep -i proxy
Windows では「環境変数」ダイアログにユーザー/システム単位でプロキシ系が残っていないかも見ます。詳しい CLI の扱いは HTTP_PROXY と Git 代理の稿に任せ、本稿では「OS 設定とセットで見る」位置づけにしています。
TUN や仮想アダプタが絡む場合
プロキシではなく、カーネル拡張や utun がトラフィックを掴んだままになると、プロキシ欄は空でも通信がおかしいことがあります。典型的には「Clash の TUN をオンにした直後に強制終了」などです。使用クライアントのドキュメントに従い、TUN を明示的にオフにしたうえで、必要ならアプリを再起動、最終手段として OS を再起動してルートテーブルとインターフェースを揃えます。
WSL2 やコンテナからホストの Clash を参照している場合は、ブリッジやポートの話になり、システムプロキシだけ戻しても片手落ちです。WSL2 とミラーネットワークの稿でホスト側の待受と一致しているか確認してください。
復旧の確認手順
- OS のプロキシ画面をスクショまたはメモし、すべてオフ/URL 空になったことを目視確認。
- ブラウザで任意の HTTP サイトと HTTPS サイトを開く(検索エンジンとニュースサイトの二種類など)。
- ターミナルで
ping 1.1.1.1やnslookup example.comを実行し、DNS が極端に壊れていないか見る。 - まだ不可なら、同じ端末でモバイルテザリングに切り替えて再現するか確認——ルータ側のキャプティブポータルや IPv6 経路の問題を分離できます。
ここまでで改善しない場合は、プロキシ残留ではなく DNS・ルール・ノード側の可能性が高まります。DNS と fake-ip の稿のロードマップに沿ってください。
よくある質問
Q. 「安全にプロキシをオフにしてよいか」不安です
自宅回線で Clash だけがプロキシを書いていた状況なら、オフに戻すことは「元の既定状態に近づける」行為です。会社 PC の場合はポリシー違反になり得るため、自己判断で全解除しないでください。
Q. 設定を戻してもブラウザだけおかしい
拡張機能の VPN/広告ブロッカー/「HTTPS フィルタ」系がプロキシを再注入していることがあります。シークレットモードや新規プロファイルで切り分けてください。
Q. 再び Clash を使うときに毎回困りたくない
クライアントの「終了時にシステムプロキシを復元」をオンにし、可能なら正常終了を習慣化する。異常終了が続くバージョンはアップデートや issue 確認を。TUN 利用時は、併用する VPN との優先順位に注意してください。
チェックリスト(印刷・保存用)
- Windows:設定アプリのプロキシで手動・スクリプト・不要な自動検出をオフ。
- macOS:各ネットワークサービスの HTTP/HTTPS/SOCKS/自動 PAC をオフ、URL 削除。
- PAC URL が
127.0.0.1を指していないか、設定画面で目視確認。 - シェルと OS の環境変数にプロキシが残っていないか確認。
- TUN/他 VPN を切り分け、必要なら OS 再起動。
- ブラウザ・ターミナル・別回線で再現性を確認。
まとめ:残留を片付けてから次の設定へ
Clash 終了後の不通の多くは、システムプロキシと PAC の取り残しで説明できます。OS の画面を一度リセットし、CLI 用の環境変数まで揃えれば、また新しいプロファイルやノード選びに集中できます。クライアントの再セットアップや最新版の入手は、Clash のダウンロードページからどうぞ。