チュートリアル 2026-05-01 · 約12分

Windows 11 で Clash Verge Rev を導入する:ダウンロードから初回接続まで

Clash Verge Rev は、mihomo(旧 Clash Meta 系)を GUI で扱いやすくしたクライアントの一つです。Windows 11 では、インストーラ取得後の Microsoft Defender SmartScreen、初回起動時の権限、そして 購読 URL の取り込みアクティブなプロファイルの切り替えが、つまずきやすいポイントになります。この記事は「正しいファイルを入手する → 警告に適切に応答する → コアと購読を整える → システムプロキシでブラウザが開く」を一列に並べ、推測ではなく手順で最初の接続まで進めます。

Clash Verge Rev と Mihomo を Windows 11 で使う意味

Verge Rev は、ルールベースのプロキシ構成を .yaml プロファイルとして管理し、GUI から購読更新やノード選択、システムへのプロキシ注入を行います。エンジンとしての mihomo は、従来の Premium 専用実装より広いプロトコルやルール記法に対応するラインであり、コミュニティで活発にメンテナンスされています。Windows 11 のユーザーが最初に押さえるべきは、「どのコアが実際に動いているか」「どのプロファイルが今選択されているか」「OS へプロキシ設定を書き込めているか」の三点です。画面の見た目はアップデートで多少変わっても、この三層の関係は変わりません。

すでに Clash for Windows(CFW) に慣れている場合でも、Verge Rev はメニュー配置や用語が異なります。Windows 向けの全般的な用語整理は「Clash for Windows 設定ガイド」が近いですが、本稿は Verge Rev に絞って、Win11 固有のセキュリティダイアログから購読画面の導線までを扱います。Mac では別途「Clash Verge Rev macOS 初回設定」を参照してください。

始める前に揃えるもの

チェックリスト

  • Windows 11 が更新され、管理者アカウントまたは昇格可能なユーザーでログインできること。
  • プロジェクトの Releases など、改ざんリスクが相対的に低い場所から入手した Windows インストーラ
  • https:// で配信される Clash / Meta 互換の購読 URL。ポート番号つきの直リンクがダッシュボードにあります。
  • ほかのプロクシクライアントを同時常駐させている場合は、ポートの衝突に注意(後述)。

購読 URL が「すでにプロキシ越しでしか取れない」レスポンスを返す場合、鶏と卵の状態になります。モバイル回線のテザリング、一時的に別回線へ切り替える、またはプロバイダが用意する国内直収 URL などで一度だけ取得を完了させてから、以降はローカル更新に任せるのが現実的です。公共のコピペサイトにサブスク URL を残さない習慣も合わせて持っておくと安全です。

ダウンロードとファイルの身元確認

公式リポジトリやフォークのリリースページから、Windows x64 向けのパッケージ(多くの場合はセットアップ用の実行ファイル、場合によりポータブル版)を選びます。ファイル名やバージョンはリリースノートと一致しているか、ハッシュが公開されていれば突き合わせます。検索エンジンの広告枠に出た「ダウンロードボタンだけのサイト」は、正規のビルドである保証が薄いので避けます。

ヒント

社内ポリシーやセキュリティ製品が「不明な開発元の実行」を一律ブロックする場合があります。IT 部門の許可プロセスを先に確認してから配布物を取得すると、後戻りが減ります。

SmartScreen と Windows セキュリティでの扱い

Windows 11 では、インストーラを初めて実行するときに Microsoft Defender SmartScreen が表示されることがあります。「PC が保護されました」と出て実行が止まる場合でも、まずはダウンロード元が想定どおりかを確認します。発行者名やバージョン情報がリリースページの説明と一致し、ファイルも改ざんされていないと判断できれば、ダイアログの 詳細情報 から 実行 を選びます。コミュニティビルドではコード署名が付与されていないことが多く、SmartScreen で余計なひと手間がかかるのは珍しくありません。

併せて Windows セキュリティ の「ウイルスと脅威の防止」で隔離された項目がないかも見ます。開発者向けの自己解凍アーカブやポータブル版はヒューリスティックに引っかかる例がありますが、身元の分からない実行ファイルを無思考で許可するのは危険です。逆に、正規ルートでも警告が出るのは稀ではない、という前提で落ち着いて確認してください。

注意

クラック版・「永続ライセンス」の謳い文句付きパッケージは、たとえ SmartScreen を通過しても実行しないでください。プロキシ権限を持つソフトウェアに対する供給鏈攻撃は被害が大きくなりやすいです。

インストール、UAC、ファイアウォール、初回起動

セットアップウィザードでは、インストール先のパスとショートカット作成の有無を確認します。容量と権限の都合でユーザー領域に置きたい場合は、カスタムインストールやポータブル配布の案内に従います。初回起動時に ユーザーアカウント制御(UAC) が出たら、実行ファイルのパスが正しいことを確認のうえ承認します。

Windows Defender ファイアウォール が「プライベート/パブリック ネットワークでの通信を許可しますか」と尋ねる場合、ローカルでプロキシを公開しない運用ならプライベートのみ許可する、といった切り分けができます。ローカルループバック上のプロキシだけを使う典型構成では、不要な公開を避けるのが無難です。起動後にタスクバーのトレイアイコンからウィンドウを開けるか、スタートメニューのショートカットから起動できるかを確認します。

Mihomo(Meta)コアの位置づけ

Verge Rev では mihomo を既定コアとして使うのが一般的です。購読に vlesshysteriatuic などの比較的新しいプロトコルが含まれる場合、Premium 系の単一実装では解釈できません。設定画面でコアを切り替えられる場合は、変更のたびに コアの再起動またはプロファイルのフルリロード を行い、古いプロセスが残って「購読は取れたのに反映されない」状態を防ぎます。

実践

最初の疎通では、システムプロキシと Rule モードだけで十分なことが多いです。TUN や DNS の上書きを同時に触ると変数が増え、原因切り分けが難しくなります。

購読のインポートと「アクティブなプロファイル」

GUI の プロファイル/購読 相当の画面を開き、購読 URL を貼り付けて ダウンロード/更新 を実行します。エラーが出ていないのにノードが空なら、ブラウザで当該 URL を開き、YAML が返っているか(ログインページにリダイレクトされていないか)を確認します。トークン付き URL をコピーした際に余分な空白が入っていないかもよくあるミスです。

  1. 購読を追加し、更新が成功してエラー表示が消えるまで待つ。
  2. 一覧から いま使うプロファイル を選び、アクティブ状態にする(ハイライト、チェック、「使用」ボタンなど UI に従う)。
  3. プロキシ/ノード 画面で、グループとノードがゼロ件ではないことを確認する。
  4. 自動更新間隔を現実的な値(例:12〜24 時間)に設定し、古いノード情報が長期滞留しないようにする。

「ファイルは取り込んだのに通信が DIRECT のまま」という相談の多くは、アクティブなプロファイルを切り替え忘れている ケースです。新しい購読がバックグラウンドに取り込まれても、表示上選択されている構成が古いまま、という状態に気づきにくいので、ここは意識的に確認してください。

システムプロキシと TUN(Windows 11)

システムプロキシ をオンにすると、ブラウザなど HTTP(S) プロキシを尊重するアプリのトラフィックが、Clash のローカルリスナーへ向けられます。Verge Rev のトグルで OS のプロキシ設定が更新される構成が一般的です。一方 TUN は仮想アダプタとルーティングで、プロキシを無視するアプリの通信も Clash 側へ取り込みます。企業 VPN や別のフィルタドライバと競合すると挙動が不安定になるため、まずはシステムプロキシのみで海外サイトと国内サイトの振る舞いを見てから TUN を足すのが安全です。

ポート番号が他製品と被ると接続に失敗します。過去に同じ PC で別クライアントを入れていた場合は、タスクマネージャーで名残プロセスがないか、設定画面の mixed port/HTTP ポート が衝突していないかを確認してください。UWP 系ストアアプリだけ通らない場合は、「Windows UWP と TUN/ループバック」の整理も参考にできます。

初回接続の確認手順

すべてオンにする前に、次の順で確認すると切り分けが速くなります。まず Rule で、代表的な海外ドメインと国内ドメインが期待どおりに振り分けられるかをブラウザで見る。同梱の 遅延テスト で、選択中のノード集合に到達性があるかを見る。ログに connection refusedi/o timeout が連発するなら出口側やローカルポート、ローカルループバックの問題を疑い、ページは真っ白だがログがきれいなときは DNS や fake-ip 周りを疑う、という分岐が有効です。DNS 特化の流れは「接続されているのにインターネットにならない:DNS と fake-ip」に譲ります。

プロキシをオフにしたあとブラウザが戻らないときは、「終了後にシステムプロキシを戻す」の手順で OS 側の設定残留を掃除できます。トラブル時に何度もインストールし直すより、まずはプロキシ設定とアクティブプロファイル、コアの状態を点検する方が早いです。

Clash を公式の入手経路からダウンロードする と、説明書きや更新履歴が追いやすく、SmartScreen 以前の段階で「何を入れているか」を把握しやすくなります。

うまくいかないときのチェック項目

SmartScreen を繰り返し踏んでしまう

ダウンロード元が混ざっていないか、ブラウザのダウンロード履歴に同名だがサイズの違うファイルがないかを確認します。企業プロキシやセキュリティ製品が実行ファイルを書き換えるミッドルボックスになっていないかも、稀に問い合わせポイントです。

システムプロキシはオンなのにブラウザだけ通らない

Windows の 設定 → ネットワークとインターネット → プロキシ を開き、手動プロキシに 127.0.0.1 と期待どおりのポートが入っているか確認します。チューナーソフトが直後に値を消すケースもあるため、Clash 側のログと OS 側の表示を突き合わせます。

一部アプリだけ失敗する

ルールとセレクタの問題か、プロキシ非対応か、TUN が必要かを切り分けるため、一時的に Global で対照実験します。改善するならルールのドメイン指定やポリシー選択が原因候補です。改善しないならノード到達性やローカルポートの方を先に疑います。

よくある質問

Q. SmartScreen で完全に止められます。どうすれば?

まずファイルが正規のリリースページ由来かを確認し、社内セキュリティポリシーでブロックされていないかを IT に問います。自己責任でしか進められない環境では、検証用のクリーンなホーム PC で試し、問題なければ業務端末では許可申請する、という運用が現実的です。

Q. 購読 URL は入れたのに遅延テストが全滅します。

アクティブプロファイルとコアの種類、ローカルポートの占有、そしてノード自体の生死を順に見ます。ブラウザで購読 URL を開いて YAML が返るか、別回線でも再現するかを切り分けると、出口問題かローカル問題かがはっきりします。

Q. TUN を使うと管理者権限や仮想アダプタの話が出ます。

TUN は OS のネットワークスタックに深く入るため、インストールやサービス登録を要することがあります。既存の VPN クライアントと競合する場合は、どちらか片方に寄せるか、分割トンネル設定を見直します。最初の数日はシステムプロキシだけで運用し、本当に必要になった段階で TUN を有効化するのがおすすめです。

まとめ:Win11 で最初の一歩を最短にする順序

  1. 信頼できる配布元から Windows 向けインストーラを取得し、ハッシュやバージョンを確認する。
  2. SmartScreen と Defender を正しく通過させ、初回起動とファイアウォールの許可を整理する。
  3. mihomo 系コアを前提に、購読を取り込み アクティブなプロファイル を確定させる。
  4. システムプロキシRule でブラウザ疎通を確認し、必要になってから TUN を足す。
  5. ログと OS のプロキシ表示で、ノード問題と DNS・ルール問題を切り分ける。

Windows 向けクライアントを公式ルートから

ダウンロードページでは、メンテナンス状況の分かりやすいクライアントと、初回プロファイル取得のヒントをまとめています。

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